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お年玉は誰のもの? 【弁護士 田村 文佳】

 新年明けましておめでとうございます。

 小さい頃、お正月といえば、お年玉を楽しみに過ごした方も多いのではないでしょうか。

 私も、年始に親戚回りをし、もらったお年玉の袋を開けるたびにわくわくした思い出があります。ただし、我が家の場合は、その後必ず親に渡すルールとなっていたので、お年玉を私が自由に使った記憶はありません。毎年恒例のスキー旅行の費用に充てると言われていたためか、さして抵抗はありませんでしたが、果たして法律的に考えるとどうなのでしょうか。

2017.1.6tam...

 

 お年玉は、子どもにあげるものなので、法律的には「贈与」にあたります。そうすると、お年玉は当然子どものものになります。ですが、その金額は、通常のお小遣いの範囲を超え、子どもに管理させるのは親としては不安です。

 法律上、未成年の子どもについて親には親権があり、民法は「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に対する法律行為についてその子を代表する。」と定めています(民法824条)。したがって、親には子どもがもらったお年玉を管理する権利があり、そのためにお年玉を預かることは認められています。ですので、私の親が私のお年玉を「管理」していたのなら、それは親権に基づいた行為となります。もちろん親としては、子どもの成長に応じて、お年玉の管理を子ども自身に任せるという判断もあるでしょう。

 親はいつまで「管理」することができるのでしょうか。親権は子が成人になるまでの間のみ認められる権利なので、民法は「子が成人に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。」と規定しています(民法828条)。子どもが成人に達すれば、管理権は消滅し、親は管理していた子どもの財産の収支を明らかにしなければならない義務があります。

 また、民法828条は、続けてこのように規定しています。「ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。」つまり、通常、親は子どもを育てるために費用を負担しているので、子どもの財産の収益はその養育や管理のために充て返還しなくても良いということになっているのです。子どもといえども、収益がある以上、自分の養育費を自分で負担すべきであるということです。したがって、親としては子どもの財産の元本のみを返還すればよいことになります。例えば、お年玉を預金し利子が発生している場合は、その利子は収益となるので、利子については親は子どもに対し、返還不要だということです。

 しかし、この828条のただし書の規定については、子どもの収益が大きく、養育費・管理費にあててもなお余剰がある場合でも親には返還義務がないことになるため、最近は、制限的に理解する学説が多く見受けられます。これらの説は、親権者は現実に支出した費用以上に子どもの財産の収益から取得できず、管理権消滅時に原則として残った子の財産は収益も含めすべて子どもに返還すべきとし、一方で未成年の子の財産から生じる収益が養育費・管理費よりも少ない場合は、親権者自身がこれを負担する必要はなく、子の財産からこれを支出することも許されるとするものです。

 このような立場にたつと、子どもの財産の収益が大きく、養育費・管理費を超えるような場合は、子どもは親権者の管理権消滅時に残存する収益を返還してもらえることになります。しかし、通常、子どもの財産及びその収益は、その子の養育費等を超える額になることは考えにくいことから、管理権消滅時に返還してもらえることはなさそうです。

 また民法は、親権者と子どもとの間の財産管理について生じた債権は、管理権消滅のときから5年間の短期消滅時効にかかると規定しています(民法831条)。仮に、私が親に預けたお年玉が養育費・管理費を上回っていたとしても(そんなことはあり得ませんが)、通常は成人に達してから5年で時効となってしまうため、私の場合は、はるか昔に消滅時効が完成しており、請求権は消滅しています。

 お年玉は子どものものではあるものの、現実的には一度親に預けたお年玉が戻ってくることは難しそうです。

 

  

 

弁護士活動コラム   2017年01月06日   admin