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「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟 国と東京電力の責任を認め,被害救済を広げる勝訴判決!【弁護士 塚本 和也】

遅くなってしまいましたが,これまでコラムで紹介してきました,生業訴訟の福島地裁判決のご報告です。

 

第1 福島原発事故被害と原発政策の現状

 福島原発事故から7年が経った今でも,避難を余儀なくされている方が少なくとも4万人以上おり、これまで築き上げてきた住居、仕事、人間関係などの「ふるさと」を奪われたままでいます。また,福島周辺に滞在している方々も不安を感じながら日々生活しています。さらに,事故の収束のめどは立っていませんし,大量の放射性廃棄物の処理方法も決まっていません。

 しかし,国と東京電力は,法的責任を認めておらず,東京電力による無過失責任を前提とした賠償も不十分です。それにもかかわらず、避難指示解除と合わせた賠償や支援の打切り、森林除染の見送り,原発再稼働や輸出を進めようとしています。昨年12月の広島高裁の伊方原発運転差止決定は意義あるものですが,高浜原発と川内原発は運転差止が取消されたり認められなかったりしたことで再稼働されています。また,昨年12月には東京電力の原発としては初めて,柏崎刈羽原発が新規制基準に基づく安全審査に合格しました。さらに,今年7月,政府は全国の原発の再稼働を前提とするエネルギー基本計画を閣議決定しました。

 このような状況の中で,全国で1万2000人を超える被害者の方々が国と東京電力の責任を追及する民事訴訟を各地で起こしており,昨年から判決を迎え始めています。昨年3月の前橋地裁判決は国の責任を認めましたが,9月の千葉地裁判決は津波の予見可能性は認めたものの結果回避義務と可能性を否定し,国の責任を認めない不当判決でした。

 

第1 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟

1 判決

(1)旗出し

 生業訴訟は,昨年10月10日,判決言渡し期日を迎えました。私は多くの原告団,弁護団や支援者の方々とともに判決前集会及びデモ行進を終え,裁判所の前で旗出しを待っていました。なお,奇しくも総選挙公示日のこの日,安倍首相は福島市で第一声を行いましたが,支持者だけを集めたもので,原発のことは一切語らず,当然私たちのところへは来ませんでした。14時すぎ,福島の弁護士3人が裁判所から出てきました。かたい表情だったため,少し不安になりました。しかし,大勢のマスコミに囲まれた台の上に立った3人はそれぞれ「勝訴」,「国と東電を断罪」,「被害救済広げる」という旗を広げました。その瞬間,「うおお!勝ったぞー!」など歓喜の叫びが上がりました。私も昨年の報告集において紹介した,楢葉町から葛飾区に避難されている原告のご夫婦と握手をして喜びました。

 

(2)国と東京電力の法的責任を認める

 判決は,「平成14年7月31日の『長期評価』に基づき,福島第一原発1~4号機敷地南側にO.P.+15.7mの津波が到来することを予見することが可能であり,(建屋等の水密化などを実施する)技術基準適合命令を発することが可能であったにもかかわらずこれを行わなかったものであり,この津波対策義務に関する規制権限の不行使は,本件の具体的事情の下において,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いていたと認められ」るとして,国の責任を認めました。特に,国が設置した機関が発表したにもかかわらず国がその信用性を争っていた,津波の予見可能性の基礎となる「長期評価」について,約36ページにわたって詳細に検討し,「研究会での議論を経て,専門的研究者の間で正当な見解であると是認された,『規制権限の行使を義務付ける程度に客観的かつ合理的根拠を有する知見』であり,その信頼性を疑うべき事情は存在しなかった」と論じました。

 判決は,東京電力についても過失を認め,「万が一にも原子力事故を引き起こすことのないよう,原子力発電所の安全性を最優先に考えなければならない原子力事業者に求められる高度の予見義務,回避義務を怠ったものとして,強い非難に値する。」と述べました。

 

(3)被害救済を広げる

 判決は,「人は,社会通念上受忍すべき限度を超えた放射性物質による居住地の汚染によって平穏な生活を妨げられない利益を有している」,「ここで故なく妨げられない平穏な生活には,生活の本拠において生まれ,育ち,職業を選択して生業を営み,家族,生活環境,地域コミュニティとの関わりにおいて人格を形成し,幸福を追求していくという,人の全人格的な生活(原告らのいう『日常の幸福追求による自己実現』)が広く含まれる」と,原告らの主張した権利利益を認定しました。また,科学的知見や社会心理学的知見といった「低線量被爆に関する知見等」や,水,食品,海,及び教育施設の汚染といった「社会的事実等」について,原告らの主張した事実を認定しました。その上で,国と東京電力が定めた指針等による賠償では不十分だとして,福島市,郡山市,いわき市などの自主的避難等対象地域などに住んでいた方の賠償額を上乗せし,賠償されていなかった白河市などの県南地域や茨城県の一部に住んでいた方の賠償も認めました。

 

(4)原状回復について

 原状回復請求については,「被告らに求める作為の内容が特定されていないものであって,不適法である」として却下されました。しかし,判決はこれだけで終わらず,「原告らの請求は,原告らの切実な思いに基づく請求であって,心情的には理解できる」という異例といえる文が加えられていました。裁判所に原告らの思いが響いていたことがわかります。もちろん私たちは控訴審で認められるべきだと訴えていきますが,除染技術の研究など,政治的な解決も必要となる分野であると思います。

 

(5)判決の評価と課題

 以上のとおり,勝訴判決と言える判決を得ることができました。国の責任を明確に認めたとともに,被害については原告らに共通する損害として認定されたものですので,被害者と認められた住民は150万人を超えます。今後の原発政策に影響を与える判決だといえます。

 一方,避難指示が出た地域に住んでいた方々への追加賠償はほぼ認められず,ふるさと喪失慰謝料も認められませんでした。また,上乗せされた金額も地域も不十分といえます。いわば各論といえる損害認定の部分で結局,放射線量が国や東電が主張した年間20ミリシーベルトではないものの,年間5ミリシーベルトを超えているかどうかという基準でほぼ線引きされてしまい,代表原告らが訴えた被害を共通の被害とみてもらえなかったことが原因かと思われます。また,国の賠償責任を東京電力の2分の1としています。これらの点については,控訴審で徹底的に主張立証を尽くし,さらに満足する判決を勝ち取りたいと思います。

 

第3 法廷外の取り組み

 法廷外の取り組みとして,昨年は公正な判決を求める署名集めに取り組みました。当事務所の連絡会のみなさまにもご協力いただいたおかげで,23万筆を超える署名が集まりました。国の責任を認めるというのは裁判官にとって勇気がいることなので,これも判決を後押ししたと思います。

 判決言渡し時には,福島地裁前だけでなく,東京電力本社前や沖縄でも旗出しを行い,支援者へのご報告と東京電力に対する訴えを行いました。判決後には,各政党や民主団体などに判決内容の報告と政策要求を行いました。

 今年2月には東京地裁,3月には京都地裁,東京地裁,福島地裁いわき支部で原発事故被害者の判決が出され,国を被告とする訴訟ではいずれも国の責任が認められ,中間指針等を超える賠償も認められました。私たちはこれらの判決後,全国の原告団,弁護団,支援者の方々とともに国や東京電力に脱原発とともに完全賠償をするよう交渉を続けています。

 また,私は今年4月に墨田の方々や司法修習生14名と福島浜通りのフィールドワーク,8月に墨田の方々15名と広島での原水爆禁止世界大会に参加し,原子力による犠牲を2度と繰り返さない決意を新たにしました。これらについてはまたコラムでご紹介します。

 さらに,東部地域においても,生業訴訟の意義を伝える学習会などを行いたいと思っています。仙台高裁での期日や福島地裁での第2陣期日の傍聴や福島の現地視察を行ってくれる方も募集しています。

 これらを通じて,原状回復や全体救済、脱原発を進めたいと思っています。今後ともあたたかいご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

【参考】 HPはコチラ フェイスブックはコチラ

 

弁護士活動コラム   2018年08月20日   admin

タスキギー人体実験について 【弁護士 城﨑 雅彦】

1 2017年10月、医療法人の依頼により、「人を対象とする医学系研究に関する倫理審査委員会」の委員に就任し、本年5月までに申請された4つの案件について審査を行いました。

 半世紀ほど前に学んだ高校時代の「倫理社会」はいつも赤点スレスレでしたし、物事を深く掘り下げて考察し、是か非かを論じることはもともと苦手です。「倫理」という2文字から連想されるものには理由もなく反発しながら生きてきたように思います。

 そのような私がこの依頼を引き受けた理由は、医師等自然科学の有識者や一般社会人の方々と、医学的研究という共通のテーマについて論議する機会が得られることに大きな魅力を感じたからです。

 

2 その中で学んだことですが、「医学系研究に関する倫理審査」が求められるようになった歴史的な経過の概要は以下のとおりです。

 第2次世界大戦中、ナチス・ドイツにより、強制収容所で様々な人体実験が行われました。

 ナチス・ドイツの戦争責任を戦勝国が追及した法廷が「ニュルンベルク裁判」ですが、ここで裁かれなかったナチスの医師等を裁いた法廷が「ニュルンベルク継続裁判」と呼ばれるものです。アメリカ軍がニュルンベルク裁判の後に設置し、「医師裁判」「法曹裁判」「捕虜裁判」等、12の裁判が行われました。

 このうち、「医師裁判」は、ナチス体制下で重い地位にあった医師や医療関係者、ナチス・ドイツの人体実験等に関与した者たちを裁いたもので、23名が被告人とされ、うち、7名が絞首刑となりました。

 この裁判の判決のなかで「許可できる医学実験」と題された部分が「ニュルンベルク綱領」とされ、第1項目の「被験者の自発的な同意が絶対に必要である。」から第10項目の「実験の進行中、責任ある立場の科学者は、彼に求められた誠実さ、優れた技能、注意深い判断力を行使する中で、実験の継続が、傷害や障害、あるいは死を被験者にもたらしそうだと考えるに足る理由が生じた場合、いつでも実験を中止する心構えでいなければならない。」まで、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則です。

 その後、これを発展させ、1964年6月、「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」として、世界医師会(WMA)は「ヘルシンキ宣言」を採択し、その後の修正を行いながら現在に至っています。

 この「ヘルシンキ宣言」は、医学研究に対する倫理審査を行うにあたって、常に念頭に置いて拠り所とすべきバイブル的存在と言えるものです。

 

3 今回ご報告するショッキングな人体実験は1932年から40年間にわたり、600人の黒人を対象にして米国公衆衛生局が実施していたもので、その地名から「タスキギー梅毒人体実験」と呼ばれているものです。

 以下の記述は、京都大学名誉教授で日本生命倫理学会初代会長であった星野一正教授の論稿からの引用です。(時の法令1570号「タスキギー梅毒人体実験と黒人被害者への大統領の謝罪」)

 「米国公衆衛生局はアラバマ州タスキギー郡やその周辺に住む黒人について治療をせずに放置した場合の梅毒の影響を調べる実験を40年にわたり行っていた。その対象は、黒人男性で、399名の梅毒罹患者と201名の非罹患者であったが、実験が開始された段階で梅毒罹患者全員は末期であった。なぜなら梅毒の末期に起こる種々の重篤な合併症についてより多く研究することが目的であったからである。」

 「この実験には、一切の計画書が存在せず、実験手順は、進行につれてできていったらしいことが分かった。」

 「梅毒は潜伏期の第1期から第3期まで、全身の骨が侵されたり、心臓循環器や脳神経系が侵されて進行性の麻痺、難聴、失明などを起こし、終末期を終えて死に至るが、1969年の時点で、約100名にも及ぶ被験者が梅毒によって死亡していた。」

 「治療しなかった場合に起こる梅毒の症状の経過を研究するために、米国南部の無教育で貧乏な黒人を観察対象(動物実験のモルモット代わり)として実施された。

 被験者とされた黒人たちにはまったく梅毒実験のことは伝えられてなく、実験材料にされることも知らされていなかったので、被験者になることへの同意もなかった。」

 「医師たちが実際に黒人たちをどのように説得したのかを探ることは難しかったが、実は、政府が実施する検査や医療を受ける登録をした者は、無料で身体検査をしてもらえ、自宅から診療所への往復の交通費は無料で、身体検査日には温かい食事が出され、簡単な病気の場合には無料で診療され、死亡時に部検をさせた場合には年金がプラスされて支給されるという魅力的な交換条件がつけられた。」

 「タスキギー梅毒実験における被験者は、すべて教育程度が低く、経済的にも貧しい下層階級の少数民族の黒人であった。当然、人種差別の中であえいでいた。そのような環境において、政府が黒人のために、医療を無料で提供するばかりか、幾つかの恩典をつけて《政府の医療計画が梅毒人体実験そのものであることを内緒で》参加登録を奨励したので、人種差別で苦しめられ続けてきた黒人たちは喜んで登録したのだったが、それは、さらに酷い黒人差別の政府の計画だった。彼らは40年の長きにわたって、政府に裏切り続けられたのであった。治療が受けられると思っていた黒人被験者たちは、梅毒に対する治療は全くされず、たとえ薬を与えられた場合でも、それはプラシーボ(治療目的の疾患には効果的な薬効のない物質)を与えられたらしいのである。」

 「米国公衆衛生局は、この人体実験のために、リバースという黒人の看護婦を配置した。米国公衆衛生局から配置された医師たちは交代が多く顔や名前がよく変わり、仕事に継続性がなかったので、タスキギーの住民であったリバースが1932年以来のすべての被験者と医師たちの間の連絡を取り、教育程度が低い南部黒人社会の方言や慣習に基づく住民感情などを知らない医師たちとの間の溝を埋め、意思の疎通をはかったりしていた。」

 「リバースが被験者を死に至らしめるという恐ろしい『タスキギー梅毒実験』のために政府側の一員として働いていることを住民たちは全く知らなかった。」

 「リバースは、診察を受けに行く被験者たちを、政府の紋章のついたピカピカのステーションワゴンに乗せ、家族や近所の人々に手を振らせて診療所まで連れて行った。これは『政府と診療契約を結んだ住民の特権』としてうらやましがられたようである。」

 

4 「この『タスキギー梅毒実験』は、1972年7月に新聞報道によりその実態が明らかにされたが、これに対する米国公衆衛生局のスポークスマンは、実験が秘密裏に行われていたことを否定した。」

 「タスキギー梅毒実験の弁護者たちは、この実験が開始された当時、梅毒に対する治療法によって果たして梅毒患者が救われたかどうかは疑わしかったと主張した。当時の医学のレベルから治療の有無の功罪を比較した時に、梅毒患者には治療しないほうが害が少ないと判断したのであって、『タスキギー梅毒実験』が道徳的な配慮もなく、企画されたとは言えないと主張した。」

 「しかし、1945年ころにペニシリンが臨床に使えるようになり、梅毒の治療に非常に効果があることが分かってからも、ペニシリンを含む一切の治療を実施しなかったことに対する弁明に窮した。政府のある医師は『本実験における最も批判されるべきことは倫理問題である』と言い、他のスポークスマンは『1946年になぜタスキギー梅毒実験を中止しない決定をしたのか、その理由がわからない』と言明した。」

 「ちなみに、1946年にはニュルンベルク裁判があり、翌1947年には、ヒトを対象とした医学的実験に対する『ニュルンベルク倫理綱領』が採択されている。

 尚、1972年には、インフォームド・コンセントも確立しており、米国のある病院のラプキン院長が、来院する患者や家族に対し、『患者としてのあなたの権利』という文書を配り始めた画期的な年でもあった。」

 

5 「1997年5月16日、クリントン大統領は、米国政府がかつて『タスキギー人体実験』として行った非倫理的な行為を反省して、生存している黒人老人とその家族にはもちろん、米国国民に対しても『あの研究活動は非人間的で残酷極まりない間違った行動で、学問的根拠もなかった』と正式に謝罪し、タスキギー大学に新たな研究センターを開設するために20万ドルを投資し、また、少数民族の学生のための新たな奨学金制度を設け、より多くの黒人に医学的研究を生涯の職業として従事してもらえるように努力するとの声明を出した。」

 

6 歴史的な一つの出来事は、最大の教師だと思います。倫理審査委員を引き受け、文部科学省と厚生労働省が作成した「人を対象とする医学的研究に関する倫理指針」等も勉強しましたが、ほとんど、頭に入りませんでした。

 この人体実験に関与した医師たちは2~3年で交代したということから推定すると数十人にも及ぶと思いますが、40年間、誰一人として、その非倫理性を訴えることはなかったようです。

 事実が明らかになってからも、「梅毒には有効な治療行為はなく、治療しないことが有効であった。」等と主張した弁護者たちは許せませんが、もし、私が公衆衛生局からタスキギーに配置された医師であったとしたら、たぶん、リバースに教えられるままに、被験者たちに事実を知らせず、任期を終えて、タスキギーを去っていったと思います。

 専門家としての責任を感じながらも自分の弱さを自覚し、医学的研究に対する倫理審査を行っていきたいと考えています。

以上

弁護士活動コラム   2018年07月13日   admin

象徴天皇の代替わり 【弁護士 中西 一裕】

 周知のとおり来年2019年4月30日に現在の天皇は退位し、5月1日付けで新天皇が即位します。
 これは日本国憲法の下における2度目の天皇の代替わりです。一度目は言うまでもなく1989年の昭和天皇死去による現天皇の即位ですが、このときは私は司法修習生で、前年の昭和天皇吐血報道以後、病状悪化の生々しい推移が日々大量に報道され、皇居の桜田門に設けられた記帳所に老若男女を問わず大勢の人が記帳に訪れる光景が東京地裁の窓からよく見えたのを昨日のことのように覚えています。
 昭和天皇死去後は政府が官庁や学校に服喪を呼びかけたことにより、歌舞音曲など華美にわたる諸行事が官民ともに自粛を余儀なくされました。
 現天皇の異例とも言える生前退位の意思表明には、こうした天皇死去に関わる「大喪」関連の諸行事と新天皇即位に関わる「大礼」関連の諸行事が並行して進められることへの苦言が率直に述べられており、これは人間天皇としての一つの見識であろうと感じます。

 しかし、政府がその後進めている新天皇即位の準備は、「憲法の趣旨に沿う」としつつも、国民主権と政教分離原則との関係で問題のある前回の代替わり儀式を踏襲する方向で進められています。
 政府が本年3月30日に公表した基本方針のうち、新天皇即位関連の諸儀式は、
  剣璽等承継の儀、即位後朝見の儀(5月1
日)
  即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、饗宴の儀(10月22日)
が国事行為として行われ、このほか皇室行事として大嘗祭(だいじょうさい)等の神道祭祀が多数行われることが予定されています。
 実は、これらの諸儀式の多くは日本国憲法制定に伴い廃止された旧登極令・同附式を踏襲したものであり、「万世一系」の神権的統治者であった大日本帝国憲法の天皇のために整備された儀式なのです。
 例えば、「剣璽等承継の儀」は登極令では「剣璽渡御ノ儀」(けんじとぎょのぎ)と呼ばれたものであり、三種の神器である「剣」と「璽」(勾玉)が自らの霊力で新天皇に渡御するという宗教的意味を有する儀式です。また、「即位礼正殿の儀」は登極令では「紫宸殿ノ儀」(ししんでんのぎ)と呼ばれたものですが、この儀式で使用される高御座(たかみくら)は天照大神に由来する「皇祖の霊座」とされ、その上で天皇が即位を宣言して臣下から寿詞(よごと)と万歳三唱を受ける臣従儀礼です。三種の神器と高御座は王冠などと同じで、統治権を象徴する「レガリア」といえます。
 さらに、皇室行事として予定されている大嘗祭等はいずれも神道形式の宗教儀式であり、本来は皇室の私費である内廷費で挙行されるべきところ、前回は即位に関連する公的行事とされて公費である宮廷費が支出されました。

 いうまでもなくこれらの儀式は国民主権の下で象徴としての地位にある現憲法の天皇の即位式典には全くそぐわないものです。
 実際、前回の代替わりの後には各地で憲法訴訟が提起され、国賠訴訟で大阪高裁は政教分離原則違反の疑義を払拭できておらず国民主権にもそぐわないとの踏み込んだ判断をしています。
 天皇・皇室に関わる事柄はいわばアンタッチャブルで、タブーのように扱われがちですが、現天皇自身が「伝統」を破って生前退位をするわけであり、まして今回はまだ十分な検討の時間もあるのだから、象徴天皇制にふさわしい儀式の在り方を検討すべきであろうと思います。

(なお、このコラムは『法と民主主義』2017年2・3月号の拙稿「生前退位に伴う天皇代替わり儀式の問題点」を踏まえたものです。)

弁護士活動コラム   2018年06月26日   admin

かこさとしさんの訃報に接して 【弁護士 田村 文佳】

 絵本作家のかこさとしさんが亡くなった。

 かこさんといえば、「だるまちゃん」シリーズなどで有名だが、私もご多分にもれず、小さいころは何回も読んだ思い出がある。特に好きだったのは「だるまちゃんとかみなりちゃん」で、かみなりちゃんの住む雲の上の世界が広がるページをめくる瞬間、いつもワクワクし、実際雲の上はこんな風な世界なのかもしれないと、想像しては楽しんでいた。

 大人になってから、かこさんの自叙伝を読んだ。それまではかこさんがどのような人生を送り、絵本作家となっていったのか全く知らなかった私は、子どもたちのために絵本を作るというその徹底した姿勢が如何に形作られていったのかを初めて知ることとなった。

 かこさんは、19歳で敗戦をむかえ、大人たちが反省もなく手のひらを返したように「戦争には反対だった」「民主主義の時代がきた」と喜んでいる姿を見て失望し、また自らも自分の意思で軍人を志していたこと、そのために必要な勉強はしたけれど、国語や西洋史、東洋史なんて覚えたってしょうがないと切り捨てたことを、暗愚の至りだと振り返る。そして、同級生たちがみんな戦死する中、「死に残り」の自分に何ができるのか、せめてこれからの子どもたちは自分のようになってほしくはない、自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の力で判断し行動する賢さを持つようになってほしいと、その手伝いをするためなら生きる意味もあるかもしれないと思うようになったという。

 かこさんについて、私が強く印象に残るのは、子どもたちのために創作活動を続けたかこさんが、常に子どもたちを尊敬し、子どもたちに感謝をしていることである。「子どもたちは、僕にとって生きる希望となった」と。

 先日、かこさんのインタビュー映像を見たら、かこさんは子どもたちのことを「子どもさんたち」と呼んでいた。私は、「子ども」に「さん」をつける大人を他に知らない。

 「子どものため」の活動は創作活動に限らず様々なものがあるが、ともすると、自分も含め子どもに対し上からの目線で行動しがちのように思う。子どもは守るべき弱い立場で、自分(大人)よりものを知らない存在であると。ましてや、街中で子どもに対する嫌悪感を隠そうともしない大人たちは、完全に下に見ているのだろう(かつては自分も子どもだったにも関わらず)。

 しかし、子どもは守るだけの存在ではないと、かこさんは教えてくれる。子どもは大人以上に色々なことを感じている、大切なことはすべて子どもたちから教わったと、かこさんは言う。かこさんの作品は、子どもを心から尊敬しその上で研究を重ねて作られているからこそ、多くの子どもたちに支持されロングセラー作品を多数生み出しているのだと思う。

 昨今、子どもを心から尊敬している大人など、一体どれくらいいるのだろう。今回の訃報に接し、改めてかこさとしさんという絵本作家の大きな存在意義を感じずにはいられない。かこさんが亡くなっても、幸いにもかこさんの作品はこれからも残るので(全部で600点余にも及ぶとのこと。)これからも、少しずつ、今度は子どもと一緒に読み進めたいと思う。

 

弁護士活動コラム   2018年06月18日   admin

中学校道徳教科書の展示会へ行って意見を書きましょう! 【弁護士 鹿島 裕輔】

 本年4月より、公立小学校で「特別の教科・道徳」の授業が行われるようになりました。道徳が教科化されたことにより、道徳の教科書を使って授業を行い、子どもたちの内面を評価して成績をつけることになりました。道徳の教科化により、子どもたちに対して一定の価値観や考え方を押しつけるような教育が行われるのではないか、との問題点が指摘されています。

 そのような中で、来年4月からは公立中学校で「特別の教科・道徳」の授業が行われることになり、今年の夏には来年度から使用される中学校「特別の教科・道徳」の教科書採択が行われます。

 現在、各地で教科書採択の対象となっている教科書の展示会が行われています。この展示会は、一般の方が自由に足を運ぶことができ、実際に各出版社の教科書を手に取って読むことができます。そして、教科書を読んだ上で、感想や意見を自由に書くことができます。展示会で記入した意見は、教科書採択を行う教育委員にも示されます。

 子どもたちに一定の価値観や考え方を押しつけない教育が行われるようにするためにも、まず私たちは「教科書がどのような内容になっているのか」を知る必要があります。そして、実際に自分の目で見て、感じたことを意見として書き、教科書採択を行う教育委員へ伝える必要があります。

 そのためにも、是非多くの方に各地で行われている教科書展示会へ足を運んでいただき、教科書を読み、感想や意見を書いていただければと思います。

 東京東部地域(墨田区、江東区、江戸川区、葛飾区)で行われている教科書展示会の日程等を下記に記載しましたので、ご参考にしていただければと存じます。

 

 

○墨田区:墨田区立ひきふね図書館

開催期間:6月5日(火)~7月3日(火)(6月18日(月)から6月22日(金)までは休館日)

時  間:9時~21時

場  所:「東武曳舟駅」より徒歩5分、「京成曳舟駅」より徒歩3分

 

○江東区:江東区教育センター、豊洲図書館、深川図書館、砂町図書館

江東区教育センター

開催期間:6月1日(金)~6月28日(木)(土日も開館)

時  間:9時~20時(土日は17時まで、6月1日(金)、4日(月)は18時30分まで)

場  所:地下鉄東西線「東陽町駅」出口2番 徒歩5分

 

江東区立豊洲図書館

開催期間:6月30日(土)~7月5日(木)(7月2日(月)を除く)

時  間:9時~20時(7月1日(日)は17時まで)

場  所:地下鉄有楽町線「豊洲駅」7番出口 徒歩1分

 

江東区立深川図書館

開催期間:7月7日(土)~7月12日(木)(7月9日(月)を除く)

時  間:9時~20時(7月8日(日)は17時まで)

場  所:地下鉄半蔵門線、大江戸線「清澄白河駅」徒歩約7分

 

江東区立砂町図書館

開催期間:7月14日(土)~7月19日(木)(7月17日(火)を除く)

時  間:9時~20時(7月15日(日)、16日(月)は17時まで)

場  所:都営新宿線「西大島駅」徒歩約20分

 

○江戸川区:中央図書館、小岩図書館、小松川図書館、葛西図書館、西葛西図書館、篠崎図書館

中央図書館

 開催期間:6月1日(金)~6月29日(金)(6月25日(月)は除く)

 時  間:9時~21時30分

 場  所:JR総武線「新小岩駅」徒歩20分

 

②小岩・小松川・葛西・西葛西・東部・篠崎図書館

 開催期間:6月1日(金)~6月14日(木)

 時  間:9時~21時30分

 場  所:小岩図書館(JR総武線「小岩駅」徒歩15分)

       小松川図書館(JR総武線「平井駅」南口から徒歩15分)

       葛西図書館(東京メトロ東西線「葛西駅」徒歩20分、都営新宿線「船堀駅」 徒歩20分)

       西葛西図書館(東京メトロ東西線「西葛西駅」徒歩6分)

       篠崎図書館(都営新宿線「篠崎駅」徒歩2分)

 

○葛飾区(葛飾区立総合教育センター、中央図書館)

葛飾区立総合教育センター

開催期間:6月1日(金)~7月4日(水)(土日を除く)

時  間:9時~17時(入場時間は16時30分まで)

場  所:「京成高砂駅」徒歩10分

 

中央図書館

 開催期間:6月1日(金)~7月4日(水)(第4木曜日を除く)

 時  間:9時~22時

 場  所:「京成金町駅」徒歩2分

 

弁護士活動コラム   2018年06月08日   admin